2018/10/07 23:12

皆様こんばんは。

すっかり秋も深まってまいりました北海道です。
今月下旬には初雪の便りも届く頃です。

先日、旧友の紹介で知り合ったお客様からのリクエストもあり、
アメスタの仕様をなぞった商品の開発に着手しました。
これまで弊社で製作してまいりましたテレキャスタイプと
本家USAのアメスタがどれだけ違うのか?と思い
真剣に調べ上げました。
かなりマニアックな部分まで調べ上げましたが、
思っていた以上に違いがありました。

弊社では標準仕様が3Wayサドルのヴィンテージタイプのブリッジなのに対し、
アメスタは6Wayサドルタイプ。
これは元々知ってはいましたが、弦通しの穴位置が何mmずれるのか?
という疑問に突き当たりました。
結果として、「Fender社の6Wayサドルにも2種類ある」という事が分かりました。
現行モデルのエリート(旧アメデラ)は3Wayサドルとの穴位置の相違はほぼ無いようです。
これが使えればさほど苦労はなかったのですが、残念ながらこのブリッジは
Fender社のロゴが入っているため商標的に使えません。
(堂々と使う工房もあるようですが)
もう一つの規格は少し特殊で、Fenderブランドの一部機種とスクワイアに採用されている物です。
これならば純正部品でもロゴが入っていませんので問題なく使えます。
問題は穴位置です。
3Wayサドルのタイプより5mmネック寄りになると実測して判明しました。
いつも製作に使用しているテンプレートと穴位置が合いません。
完全に平行に移動が可能かテスト用の木材で何度も試行錯誤しましたが
なんとか方法を確立する事ができました。

次に使われているピックアップです。
生産終了の頃のピックアップは現在も販売されているのですが、
再現したい年式の物は既に生産されていません。
血眼になってデッドストック品を探しました。
ようやく1セットだけ確保できまして、
一緒に当時物のコンデンサも確保できました。
普段ヴィンテージモデルを意識して製作していますが
’50~’60年代の物はコンデンサの数値は0.05kや0.47kですが
近年の物は0.22kだと判明しました。
これは驚きでした。
この数値は一般的にはハムバッカーに使用するのがセオリーとされている数値です。
内部配線も調べてみましたが、これは特に驚くほどではありませんでした。
むしろ弊社の配線の方が変わってるというか、特殊です。
はたしてこの数値のコンデンサでシングルピックアップを鳴らしたら
どんなサウンドになるのか?
組み上がるまでドキドキとワクワク半々で作り上げましたが
音を聴いて納得しました。
「あ、これで正解なんだ」と。
ヴィンテージモデルとは全く違う現代的なサウンド。
でもちゃんとFenderのテレキャスターの音なんです。
配線方法や配線材料の影響もかなりあるでしょうが、
「シャキっとしながら甘い」という何とも言えないサウンドです。

今回の経験でまた新しいサウンドを発見できました。
今後の製品企画にも少なからず影響してくると思います。
良い勉強ができました。